協会ブログ

課題のブレークスルー

  • 2020.6.6

令和2年5月20日付けの朝日新聞の朝刊に、岡山県の和気閑谷高校野球部が、生まれつき左手首から先がなく、投球する際にぶら下げたグラブが外れないよう左手を意識するあまり、右腕に頼った投球により右肘を痛めた、同じ岡山県の身体障害者野球チームのエースのために専用グラブを考案した記事が掲載されていました。

この記事を読んで、かつてTBS系列で放送されていた「夢の扉+」というヒューマンドキュメンタリー番組の一部を1冊の本にまとめた「夢の扉+ あきらめない人が心に刻んだ24の言葉」(TBS「夢の扉+」制作班NTT出版)で紹介されているソニーコンピュータサイエンス研究所アソシエイトリサーチャーの遠藤謙氏のエピソードを思い出しました。

遠藤氏については、為末大氏とコラボレーションし、障害を抱える選手が健常者よりも速く走れるような義足の開発に取り組んでいることでご存じの方も多いかと思います。

遠藤氏はもともとロボット開発の研究を行ってましたが、24歳という若さで骨肉腫により片足を切断した高校時代の親友の「自分の足で歩きたい」というつぶやきに自分の無力さを感じ、恩師マサチューセッツ工科大学のヒュー・ハー教授の「障がいは人にあるのではなく、技術にある」という言葉に背中を押
されたためといいます。

そして、バイオメカニクスやロボットの二足歩行技術などを駆使したハイテク義足を完成させ、更には低コスト義足の開発にも着手し、その完成度の高さに、先の親友をも驚嘆させたといいます。

開発のプロセスでは何度も深刻な問題に直面したが、気持ちの熱量を維持し、夢をあきらめずに粘り続ければ、問題をブレークスルーする糸口が見つかると遠藤氏は言っています。

コロナの影響で条件付きとは言え、競技の練習も可能となってきました。ブランク明けの練習の中で、様々な課題が見えてくると思います。

今年は様々な大会の開催が不透明な状況ですが、見えてきた課題に遠藤氏のようにあきらめず何度もチャレンジし、更なる高みを目指していただければと思います。

事務局員 川尻